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クリアなHD動画配信 - それでも画質にこだわりたい!


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「WEB上での動画配信は動画のクォリティーが落ちてしまうからしない」というやりとりは過去のものとなりつつある現在(2011年)、YouTubeやVimeo等1080pのハイビジョンで配信できる動画サービスを利用しても、画質がいまいちだという方は少なくないと思います。そういった方の為にWEB上での動画配信を本気で行ってみようという企画です。ブロックノイズを目の敵にしている方必見です^^;

なぜ画質が落ちるのか?


動画配信サイトでは、不特定多数の人が動画をアップロードし、不特定多数の人がその動画を見ます。動画の形式は音楽と違い複雑なので、YouTubeはアップロードされた動画に対して妥当な形式に再圧縮されます。(YouTubeの場合は既に妥当な形式だとしても再圧縮されるようです。Vimeoは有料の場合、再圧縮を行わないオプションが付くようです)
その再圧縮の際に大幅な画質劣化が発生します。
YouTubeでは1080pの画質でビットレートが20メガbps(秒間20メガビットの転送量)で配信が行えます。今の動画圧縮技術であれば5メガbpsもあればかなり高品位の画質が保てるはずですが、いざアップしてみるとあまりきれいじゃなかったりします。
何が違うのかというと、動画圧縮の性能の違いだと思われます。動画圧縮の性能というのは新たな技術が発明されない限り、良ければ良いほど圧縮や再生にCPUや時間を費やされます。YouTubeでは圧縮はサーバー・再生はブラウザに負担をかけるのを回避する為、最適な圧縮性能を調節しているのだと思われます。

それでも、高画質動画の劣化を回避するには?


それでは、画質劣化を回避しながら高画質映像を配信するにはどうすればいいでしょう。あちこち探してみても、お金をかけずに無劣化で高画質映像を配信できるサイトが意外にも見つかりませんでした・・
いろいろ悩んでいるうちに、「自らホスティングすればいいではないか」と一つの答えにたどり着きました。昔は大量データ転送を禁止しているホスティングが少なくなかったのですが、現在ではわりと制限が解除されているケースが多いです。
動画の圧縮は時間とCPUをかけてじっくりやるとして、問題はブラウザ側の「デコード」という処理が耐えられるかです。 どうやらCore2Duo以上でないといけなさそうです。まあ、ハイビジョン対応であればそれぐらいのスペックでないとね・・

設置方法:
JW PlayerというFlashで動作するプレイヤーであれば、mp4(h264)の形式でも直接再生することができます。
詳しくはこちら。JW Playerに関する技術的な質問はこちらへ
設置は簡単。上記でダウンロードした一式と動画をホストにアップして、 添付されているhtmlの「START OF THE PLAYER EMBEDDING TO COPY-PASTE」の部分を設置したいhtmlにコピペして、 「file」の部分を動画のパスに変更することで、設置完了します。

設置例:
JW Player goes here
形式はh264(mp4),解像度は720p,5Mbps,30fpsですが、最大化してもクオリティーは保持できています。2passでじっくり圧縮しました。うちのホスティングは深夜4時からバッチ類が走り出し、サイトが見れないくらい重くなる貧弱さですので、 繁忙期のインフラには目をつぶってやってください・・

比較用にYouTubeの同映像も添付しました。720pモードに切り替えて比較してください。

再圧縮を見越して20Mbpsの高画質でアップ。当然前者の動画より断然綺麗なはずです。しかし、変換後の動画は20Mbpsで再生されているにも関わらず、クオリティは落ちています。

検証・結論


先程の動画を拡大して比較してみましょう。
無劣化(JW Player)での再生

YouTubeでの再生


YouTubeの方はブロックノイズにより奥のレイヤの細かいパーティクルがぼやけてしまっていますが、無劣化の方はくっきり写っています。 YouTube側の文字にかかっているノイズはリサイズを無理やりかけた際に発生するものに似ています。コレは改善の余地がありそうな・・ あと、静止している文字とパーティクルがこすれあってモスキートっぽいノイズも醸し出されています。 色合いも無劣化の方がいい様に感じられます。
(※専門用語多用で失礼しました・・)
見てのとおり、上の方がきれいですよね。上はシットリした感じなのに下は妙なザラッと感があります。(・・また食品デモの採用に足踏みが・・)

○長所:
・画質を劣化させずに配信できる。
・無駄な通信量を抑えられる20Mbps→5Mbps
・ホストにアップするだけなので、手間がかからない。
×短所:
・動画同士の横のつながりが無い。
・閲覧側のPCのスペックがある程度必要(Core2Duo以上)
・大量データ通信の可能なホスティングが必要。
と、いろいろ功罪はありますが、高画質版はJW Player、その他の画質はYouTube等の使い分けをおすすめします。
それも現状の話なので、今後動画圧縮技術が進歩し、それに変わってくれることが一番なので動画配信サービスの今後の動きに期待しましょう。


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